簡易帰化の9つのケースと大帰化について
簡易帰化とは
日本人の配偶者や子供など、一定の条件を満たす場合、普通帰化よりも要件が緩和される帰化申請のことです。
簡易帰化は在日韓国人・朝鮮人(特別永住者)の方や、日本人と結婚している外国人が当てはまります。
「簡易」という言葉が使われていますが、これは帰化要件のハードルが下がっているという意味で、書類上の手続きは簡易になっているとはいえません。
書類作成に関してのボリュームの多さは、一般の外国人とほぼ同じかそれ以上になる場合が多いです。
簡易帰化のケースは主に9つあるので、以下で説明します。
日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する人
このケースは、両親が外国に帰化して自分も外国籍になっている場合が当てはまります。
例えば日本人家族がフランスへ一家で移住し、フランス国籍を取った場合。
父母はフランス国籍で、子が日本国籍を取りたい場合に、子は「日本国民であった者の子」に当たるので、引き続き3年以上日本に住めば日本国籍を取ることができます。
1日本で生まれた者で、引き続き3年以上日本に住所もしくは居所を有し、又はその父もしくは母(養父母を除く)が日本で生まれた者
日本で生まれた在日韓国人・朝鮮人の方の多くが、このケースに当てはまります。
引き続き10年以上日本に居所を有する者
このケースも多くの在日韓国・朝鮮人の方が当てはまります。
また、一般の外国人の方でも10年以上日本に住んでいる方は、1年以上就労経験があれば帰化され得るでしょう。
以上のケース1,2、3のいずれかに当てはまる方は、普通帰化で求められている5年の住居要件が緩和されます。
能力要件、素行要件、生計要件、喪失事項、思想関係を満たしていれば帰化申請が可能です。
日本国民の配偶者たる外国人で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者
日本人と結婚している外国人がこのケースに当てはまります。
日本に3年以上住んでいる場合は、日本人と結婚した時点で帰化の要件を満たすことができるのです。
日本国民の配偶者たる外国人で、婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する者
ケース4と同じく、日本人と結婚している外国人がこのケースに当てはまります。
この場合は外国で結婚生活を送っていたが、その後来日し1年以上日本に住んでいる場合に帰化要件を満たすことができる。
以上のケース4、5のいずれかに当てはまる方は住居要件と能力要件が緩和されます。
引き続き5年以上住んでいなくても大丈夫です。また、20歳未満でも素行要件、生計要件、喪失事項、思想関係を満たしていれば帰化申請が可能となります。
日本国民の子(養子を除く)で、日本に住所を有するもの
両親だけ先に帰化して日本国籍と取り、子供が後で帰化する場合がこのケースに当てはまります。
また、日本人の子であるが日本国籍を選ばなかった人が、のちに帰化する場合もこのケースです。
日本国民の養子で、引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつた者
未成年の時に、親の再婚などにより、連れ子として日本に来た外国人の方で、来日の時に義理の父(母)と養子縁組をしたようなケースが当てはまります。
日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で、日本に住所を有する者
このケースは、外国籍になった日本人が、再度日本国籍に戻るときです。
日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者で、その時から引き続き3年以上日本に住所を有する者
上記のケース6,7,8,9に当てはまる方は住居要件、能力要件、生計要件が緩和されます。
大帰化とは
大帰化とは、日本に特別の功労があった外国人に対して認められるものです。
特に要件があるわけではありません。
実務上の手続きとしては、法務大臣が国会に、特別功労のある外国人に対して大帰化を認めたい旨を提案し、それが国会に承認されると大帰化が認められることになります。
しかし、大帰化は簡単に認められるものではなく、過去において大帰化が認められた例は一度もありません。